NHKで現在放送中の朝ドラ『虎に翼』で主人公の寅子が結婚式や海などのシーンで歌った曲がたびたび話題になっています。
5月10日に放送された第6週(30)話でも寅子の家を訪ねてきたよねを見送るシーンで流れ、その後の『あさイチ』の朝ドラうけでも華丸さんが「ママとパパの歌、どれだけパパ、虐げられるんですか」と言われていましたね。
このドラマの中でこの曲が流れる意味とは?歌詞の内容とともに検証してみたいと思います。
虎に翼で寅子が歌うモンパパの歌詞の意味は?
🐯 #トラつばプレイバック 🪽
— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) May 9, 2024
帰り際のよねからの「おめでとう」。
その後ろ姿を見つめ、『モン・パパ』を口ずさむ寅子。#朝ドラ #虎に翼#伊藤沙莉 #土居志央梨 pic.twitter.com/Z14bidXgbZ
主人公の寅子が歌うこの曲の題名は『モンパパ』と言います。
初めて『虎に翼』のなかでこの曲が流れた時、この時代に私が抱くイメージとちょっと違っていたので少し違和感を感じました。
そこでまずは『モンパパ』という曲はどんな曲なのかを見ていきましょう。
モンパパってどんな曲?
『モンパパ』は、1930年代に流行した歌で、家庭内の日常を描いています。
歌詞は著作権がどうなっているのかわからないのでここには掲載しませんが、一言で言えば母親が強く、父親が弱いという家庭のコミカルなやり取りをユーモラスに表現しています。
この曲はフランスのシャンソンが元になっており、フランス語で「私のパパ」という意味を持っています。
フランスで1930年(昭和5年)に公開され、日本でも翌年1931年(昭和6年)に公開された映画、ジョルジュ・ミルトン主演の「巴里(パリ)っ子」で歌われました。
日本では宝塚歌劇団が「ローズ・パリ(薔薇の巴里)」というタイトルの舞台(レヴュー)で歌ったのが最初です。
日本の大衆音楽として広まったのは、昭和の喜劇王「エノケン」こと榎本健一さんによるものです。
寅子が歌う歌詞とは少しだけちがいますね。
以下に宝塚とエノケンさんのYouTubeを貼っていますのでよかったら聴きくらべてみて下さい。
ポンキッキーズでも歌われた
ところでこの曲、ドラマの時代の昭和初期に流行ったのになんだか聞いたことがあるような、と思ったらフジテレビ系で放送されていた子ども向け番組『ポンキッキーズ』の中でも『うちのパパとママとボク』という曲名で歌われていたんですね。
私の子育て期と重なっているので聞いたことがあったのでしょう。
歌詞は現代調(と言っても少し前ですが)になっていますが、内容は同じような感じです。
虎に翼で寅子が歌うモンパパの意味するところは?ドラマで歌われるのはなぜ?
🐯 #トラつばオフショット 🪽
— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) April 20, 2024
猪爪家の玄関で集合写真!
やっぴーこと #永瀬矢紘 さん演じる直明は、来週少し成長した姿になります!引き続き成長を見守ってください~✨#朝ドラ #虎に翼#伊藤沙莉 #石田ゆり子 #岡部たかし#森田望智 #上川周作 #仲野太賀 pic.twitter.com/ASchIWF7ea
『モンパパ』の歌詞は母親が強く父親が弱いという意味と書きましたが、ドラマを見ても分かる通り寅子の時代は実際はそうではありませんでしたよね。
ではなぜこの曲が流行したのか歌詞の内容からその背景を見ていきましょう。
社会的な風刺
歌詞からは、男性至上主義の社会における男女の役割やパワーバランスを風刺しているように思えます。
当時の社会では、男性が家庭や社会での支配的な立場にあることが一般的でした。
しかし、この歌ではその常識を逆転させ、母親が家庭の中で強い立場にあり、父親がそれに従うという状況を描いています。
経済的な役割
曲の中では母親が家庭の経済的な決定を下し、父親がそれを受け入れるという描写もあります。
例えば、「パパはもっさり服、ママは流行の服」だったり「呉服屋の品物がママで勘定書きはパパ」、「古い時計はパパでダイヤモンドはママ」などといった歌詞からその様子がうかがえます。
感情的な交流
歌詞はまた、母親と父親の間の感情的な交流を描いています。
母親が怒鳴り、父親が謝るという描写は、二人の間のコミュニケーションの形を示しています。
「パパ は毎晩遅い、ママはヒステリー 」「暴れて怒鳴るはのママ、はげ頭下げるのはパパ 」「でたらめ言うのはパパ 、胸ぐらを取るのはママ」という部分では、母親が家庭の支配者として描かれ、父親がそれに服従する様子が描かれています。
これは、父親が母親の感情を尊重し、その感情に対応するために自分の行動を調整するという関係性を示しているかもしれません。
モンパパの意味するところ
『モンパパ』は実際の男性至上主義社会を風刺して男女逆の歌詞をコミカルに表現することで、寅子のような女性たちの希望にもつながる曲だったのかも知れません。
でも、それだけではなく私感ですが実際は社会や家庭でも表向きは男性が主導権を握っているようでも、実は夫婦間では妻には頭が上がらないような男性も案外いたのではないのでしょうか?
だからこの曲が流行っても特に男性がクレームを言うようなこともなかったのではないかな?と思ったりします。
まあ、ただの娯楽の音楽だからというのもあったでしょうが。
このお二人も?
🐯 #トラつばオフショット 🪽
— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) May 3, 2024
やっと実現したはると直言の映画デート!
お出かけ前に一枚📷✨
映画のチケットを持って、ワクワクのお二人です🥰#朝ドラ #虎に翼#石田ゆり子 #岡部たかし pic.twitter.com/f4rucanSaG
もう一つ、『虎に翼』の中で歌われる意味として寅子のモデルである三淵嘉子さんの小説の中で『モンパパ』を好んで歌ったと書かれています。
小説ですので実際にご本人が歌っていたかどうかは分かりませんが、そこから採用されたのかも知れませんね。
また、小説のなかで息子さんがこの歌詞の「パパ」が夫のようだと嘉子さんが考えていたとの描写もあります。
三淵嘉子さんの生涯を描いた小説はこちら
三淵嘉子さんは2回結婚されています。
ドラマでもこの先にそういうシーンが出てくる伏線的な意味もあるのかも知れませんね。
まとめ
NHKの朝ドラ『虎に翼』で主人公の寅子が歌うモンパパの意味とドラマでなぜ歌われるのかを検証してきました。
男性至上主義の社会のなかで母親が強く父親が弱いという逆説的な歌詞が、寅子たちのような女性の希望であったでしょうし、実は夫婦の間にはそういう面もあったのかもしれません。
また今後のドラマのストーリーの伏線となっていることも予想されますね。
この先、どういう風にこの時代に虐げられていた女性たちが色々な権利を獲得したり活躍をしていくことになるのか、また困難にぶち当たるのか、展開がとても楽しみです。